経営者は、ビジネスの活動に「目的」と「目標」を設定しよう

経営者は、ビジネスの活動に「目的」と「目標」を設定しよう

 今週は、都内で「商談」に関するセミナーの講師を務めました。中小企業が商談の機会を得るチャンスとしては、自社から電話やメールなどでアポイントする方法、取引先や知り合いからの紹介を受ける方法以外に、公的機関や金融機関等が主催する「合同商談会」に参加するという方法があります。合同商談会は、事前に参加企業が受注希望、発注希望の内容を提出し、公開された内容を見て取引の可能性がありそうな企業と商談する、という流れで行われます。今回は、この合同商談会の事前セミナーとして、「20分を有効活用するヒント」と題してお話しました。

「合同商談会」のメリットと、注意すべき点

 私の中小企業診断士としてのキャリアのスタートは、補助金事務局の相談員として、補助金に採択された企業が、事業を完了して補助金を受けるまでの活動をフォローする仕事でした。その後、補助金を受けた企業が、その成果を実際に事業化するための「フォローアップ事業」を担当しました。この事業では、事業化に向けての販路開拓の支援のため「展示会への共同出展」や「補助金を受けた事業者が参加する商談会」などを行っており、私も開催までの準備や当日の運営フォローなどに関わってきました。こうした経験の中で実際に見聞きしたこと、経験してきたことも踏まえて、セミナーの内容を検討しています。

 合同商談会には、①日頃の営業活動では知り合えないような業種や規模の企業との商談が持てる②相手の要望(ニーズ)を把握したうえで商談に臨める場合が多い③1日で数社との商談を一気に行える、といったメリットがあります。

 一方、注意すべき点(デメリット)としては①商談時間が短いので、十分に商談が詰められない場合が多い②ニーズに合致しない組み合わせ(マッチング)だった場合には、無駄な時間となる、などがあります。ただ、②については、日ごろの商談でも起こりうることなので、やはり①の「時間が短い」という点が、合同商談会においてもっとも注意すべき点であると思っています。

成果を上げるための4ステップ

 セミナーのタイトルにある「20分間」というのは、今回の商談会における1回の商談時間です。また、合同商談会での1回の商談時間はおおむね20~30分です。そこで、限られた時間で行われる商談での成果を高めるための取り組み方をご紹介するのが、このセミナーの主旨です。

 セミナーでは、「商談の目的と目標を設定する」「商談が始まる前の準備」「商談当日のふるまい」「商談が終わったあとのフォロー」の4つのステップに分けて、取り組みを紹介しました。例えば「商談が始まる前の準備」については、「顧客視点に立って、提案内容を研ぎ澄ます」ことが重要で、商談先の企業を知ることから始めて、商談先のニーズを推測し(合同商談会では、各企業の取引ニーズについて事前資料で確認できますが、表面的な内容しかわからないことも少なくありません)、ニーズに合った自社のソリューション(解決策)を考えて、ソリューションを顧客視点の言葉で説明するための準備をします(説明の言葉を考えて、必要に応じて資料を作る)。「顧客視点に立って、提案内容を研ぎ澄ます」ことは、商談会や日頃の商談だけでなく、自社の製品/サービス/事業について説明を行うあらゆる場面において重要なことであり、創業支援のセミナー、マーケティングのセミナー、あらゆるセミナーで私がお伝えしていることです。「商談当日のふるまい」としては、第1印象の大切さや会社や技術の紹介に時間を費やさないこと等々。「商談が終わったあとのフォロー」としては、お礼メール、社内での引継ぎ、そして、全体の振り返りを関係者で行うことなどを、お伝えしました。

ビジネスの活動には「目的」と「目標」を持つ

 さて、今回このブログで紹介したいことは、ステップの最初に位置付けている、商談会に参加する「目的」と「目標」を明確にすること、についてです。

 一般的に商談を行う目的としては、例えば

  1. 自社を売り込むこと…自社への発注(加工依頼)を獲得する、自社の商品/サービスを売り込む                       
  2. 相手企業のリソース活用…相手の商品/サービスを購入する(よく理解する)、自社で受けられない案件の製造協力先(外注先)を見つける  
  3. 技術連携、販売連携…自社の技術を活用してほしい、相手のネットワーク(商流)を活用したい

などが考えられます。目的は、商談相手によって変わってくるかもしれません。また、目標としては、

  1. 次回の面会の約束をする                      
  2. 宿題をもらい、回答する機会を得る                 
  3. 見込み客を増やす(とりあえず先方の「取引先リスト」に載れば良い
  4. (1~4を経由した結果として)成約する

などが考えられます。KPI(Key Performance Indicator:重要業績指標)の設定、と考えてもよいかと思います。

 目的と目標が決まれば、それらを満たすために必要な準備も見えてきます。自社の製品やサービスを売り込むために必要な準備と、製造協力先を求める場合の準備は、おそらく違うものになるでしょう。また、目標を設定することで、準備する内容のレベルも変わってくるでしょう。目標設定のレベルは、相手に求める意思決定のレベル、ということもできますので、商談相手が意思決定するのに相応しい材料を用意することが必要となります。また、商談終了後には目的を果たすことはできたか(できそうか)、目標を達成できたかを振り返り、今後の活動へのフィードバックができます。

 そして、あらゆるビジネスの活動には、同様に「目的」と「目標」を設定することが重要です。例えば、SNSで広告を出すこと、従業員を増やすこと、資金調達をすること。どんな手を打つうえでも、「目的・目標を決める」→「目的・目標に沿った準備をし、実行する」→「振り返り、次へ生かす」この繰り返しで、ビジネスの質を高めることが重要だと思います。

 ちなみに、よくビジネスの現場では「PDCA」という言葉を使われます。一番初めに当たるのが「Plan(計画)」ですが、PlanばかりしていてDo(実行)しなければ何も始まらないのでまず行動しよう、という意見を聞くことがあります。実行を重視する態度については否定しませんが、まず行動してみようと思う場合でも、「何のために行動してみるのか」「行動して何を得たいのか」について設定することだけは行うべきではないかと思います。

ビジネスイベントは「何に参加するか」も大切

 そして、最後に、ビジネスイベントについて1つお伝えしたいのが、「目的にあった機会を選ぶ」ことです。合同商談会や展示会の共同出展は、行政や公的機関がバックアップしているため、企業負担なしで参加できる場合も少なくありません。したがって、紹介を受けたのでとりあえず参加してみた、という経験がある企業もあるかと思います。もちろん企業負担なく参加できるのはありがたいことですが、自社との取引可能性が少なそうなイベントに参加して成果が得られなければ、事前の準備や当日の運営に携わった従業員や関係者の作業や掛けた時間(経営者からすれば人件費)は無駄になってしまいます。さらにそれ以上に懸念するのは、そのような効果が薄そうなイベントに出て成果が上げられなかった場合に、「展示会や商談会は効果がないもの」と従業員が考えてしまい、その後にビジネスイベントに参加する際に、モチベーションを持って取り組んでもらえなくなる可能性があることです。

 展示会や商談会は、目的に合ったものを選んで適切な準備をすれば、きちんと成果が得られる機会です。参加するものを吟味し、参加するからには最大限の準備をする。そのような姿勢を望みたいと思っています。


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