中小企業

  • 2023.08.23

【夏休みの自由研究2023】日本唯一の馬具メーカー・ソメスサドル

夏季休暇の時期は、読めていなかった書籍や資料に手を付ける良いタイミングということで、このブログでも、読んだ書籍について毎年紹介しています。今回は、今年発売された三浦暁子氏の著作「ソメスサドルの挑戦~炭鉱の町から世界へ」と、この本をきっかけに周辺情報を調べる中で見つけた山本聖氏の著作「世界ナンバーワンの日本の小さな会社」をもとに、北海道の中小企業で、日本唯一の馬具メーカー、また革製品メーカーであるソ […]

  • 2023.01.18

スタートアップ育成5か年計画を読む②研究開発支援の強化

前回に続き、「スタートアップ育成5か年計画」の詳細についてレビューをしています。(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai13/gijisidai.html) 前回のブログはこちら↓ 今回は、SBIR(Small Business Innovation Research)制度の抜本見直しなど、研究開発の支援に関す […]

  • 2022.09.07

「経営者の高齢化」に考えること

8月後半から9月頭に掛けて、日本の2つの大企業の経営者に関するニュースが報じられました。1つは、京セラの会長・稲盛和夫氏の逝去。そしてもう1つは、日本電産の社長(COO)交代です。 稲盛氏は、私の故郷鹿児島県が生んだ偉大な経営者であり、私の実家の街にも4,000人規模の工場があって、小さい頃から京セラという名前が身近にありました。そして、私がメーカーを退社した後に経営学を学ぶようになると、京セラの […]

  • 2022.08.31

イノベーションと企業形態

先日、東京工業大学の集中講座にて、製品開発に関する事例についてオンラインで講義をしました。私がメーカー時代に体験した商品開発業務について、開発体制のこと、商品企画のプロセスを中心に話をしました。 また、専修大学経営学部では「デザインと経営」という講義を3人の先生と担当しており、今年の前期で3年目を迎えました。こちらでは、私は3回の講義を担当しています。 企業規模によって変わる開発フロー 「デザイン […]

  • 2022.08.17

夏休みの自由研究2022~「経営」と「面白いストーリー」

夏季休暇、年末年始の休暇は、本を精読するのに良いタイミングです。一昨年のブログでは、数冊を取り上げて紹介をしましたが、今年は、何冊か読んだうちで一番印象に残った「ストーリーとしての競争戦略—優れた戦略の条件」(東洋経済新報社)について紹介します。本書は、2010年に発行された一橋大学楠木健教授の著作です。発行部数は20万部を超えているという、経営学の本としては定番中の定番です。 私自身は大学院に通 […]

  • 2022.07.27

大画面化・高画質化が進んだテレビのもう1つの歴史

日経トレンディ2022年8月号では、同誌の創刊35周年記念の特集として、「いいものオールタイムベスト」と題し、様々な商品カテゴリーにおけるヒット商品の歴史を振り返っています。(https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00677/00001/) この中で最初に紹介されているのが「テレビ」です。確かに、様々な業界のトレンド・新商品情報を中心に構成される当誌 […]

  • 2022.07.06

学びに前向きな組織を作ろう~「リスキリング」に向き合うヒント

この1か月間ほど、創業スクールの講師をしていました。こちらでの創業スクールは2015年から毎年行われており、初回から講師を担当しています。これまでに、累計100名ほどの修了生の方と、学びの時間を共有してきました。(本庄早稲田国際リサーチパークHP http://www.howarp.or.jp/eventnews/20220604-0702/) 受講生の属性は様々で、定年を見据えて自分で新しい仕事 […]

  • 2022.06.01

2022年度中小企業白書の注目トピック④「中小企業が対応を迫られる外部環境」

 2022年度の中小企業白書の第2章「企業の成長を促す経営力と組織」において紹介されている無形資産投資への取り組みについて紹介していく特集の最終回・第4回は、「中小企業が対応を迫られる外部環境」に関する記述に関して取り上げます。言及されているのは、「海外展開」「脱炭素化」「ビジネスと人権」です。 海外展開  感染症の流行以降、海外への往来が制限され、海外とのビジネスが以前のように行うことが難しい状 […]

  • 2022.05.25

2022年度中小企業白書の注目トピック③「経営理念・ビジョン」

 2022年度の中小企業白書の第2章「企業の成長を促す経営力と組織」において紹介されている無形資産投資への取り組みについて紹介していく特集の第3回は、「経営理念・ビジョン」に関する記述に関して取り上げます。(株)東京商工リサーチが実施した「中小企業の経営理念・経営戦略に関するアンケート」を主に用いて、中小企業における経営理念・ビジョンの浸透について分析されています。 経営理念・ビジョン策定の現状 […]

  • 2022.05.18

2022年度中小企業白書の注目トピック②「人的資源管理」

 2022年度の中小企業白書の第2章「企業の成長を促す経営力と組織」において紹介されている無形資産投資への取り組みについて紹介していく特集の第2回は、「人的資源管理」に関する記述に関して取り上げます。人的資源管理(Human Resouces Management:HRM)とは、人材を重要な経営資源として捉え、教育、評価、報酬などの人事施策を体系的に構築・運用する仕組みのことです。HRMと企業業績 […]

  • 2022.05.11

2022年度中小企業白書の注目トピック①「ブランド構築」と「デザイン経営」

 2022年度の中小企業白書・小規模事業者白書が公表されました。中小企業白書・小規模事業者白書は、国が中小企業・小規模事業者を取り巻く経営環境や事業者による企業経営の実態を分析し、今後の展望や施策について紹介するものです。  今年の白書において、私が一番注目したのは、中小企業白書の第2章「企業の成長を促す経営力と組織」において、中小企業が付加価値を向上しながら成長するための方法として、ブランドや人 […]

  • 2021.03.21

自社製品を開発する力を鍛えるステップ

届けたい人を決めて開発すること 3月17日に、品川区が主催する「ビジネス支援講座」のオンラインセミナーに登壇しました。テーマは「中小製造業が自社製品を開発するヒント~大切にしたい4つのステップ~」で、大学院の修士論文の内容で話をしてほしい、という主催者側からのリクエストに答えて、内容を構成しました。 90分ほど話をさせて頂いたあと、参加者の方からの質問をお受けしたのですが、一番最後の質問が「自社製 […]

  • 2021.02.22

製品開発のアイデアの起点を「誰」に見出すのか

3月に、中小製造業の新商品開発に関するオンラインセミナーに登壇することになりました。大学院で執筆した修士論文を見て頂いて声を掛けて頂いたということでとても嬉しく思っています(令和3年3月度品川区ビジネス支援講座)。 もっとも、論文を書いていたのは2014年から2015年に掛けてで、それから大分時間が経っています。もちろん、本質的に大切なことは変わっていないと思いますし、論文では本質的なことを取り上 […]

  • 2021.01.14

脱炭素社会へのシフトに対応しよう②アップルカーの登場

2024年、アップルカー登場か 前回のブログでは脱炭素社会に対応した電気自動車の動向について書きましたが、昨年の年末に電気自動車に関するあるニュースが世界的に話題になりました。「アップルカー」、すなわち、アップル社が電気自動車を発売する、という話題です。 このニュースは、Reuters(ロイター)や台湾の報道機関が報じたもので、アップルによる自動車部品や装備品の注文が台湾において増加しており、「画 […]

  • 2021.01.03

脱炭素社会へのシフトに対応しよう!

今度こそ、脱炭素社会に向けて動き出せるのか?  2020年は、国内では久しぶりに政権交代が起こった年でした。デジタル庁発足の決定なども話題になっていますが、産業界へのインパクトが大きいトピックとしては、所信表明演説で「2050年にカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言したことでしょう。  この表明に続いて、経済産業省が30年代半ばに国内の新車販売をすべて電動車とする目標を設定す […]

  • 2020.09.09

オープンイノベーションで社会課題の解決に挑戦しよう

「スイングバイIPO」という新しい出口戦略  2020年9月7日付の日本経済新聞によると、KDDI子会社でIoT向け通信を手掛けるソラコムが、新規株式公開(IPO)を検討しているとのことです。  2015年設立のソラコムは、2017年に買収額約200億円でKDDIの傘下に入りました。KDDIの販売網を使ってガスなどインフラ大手との大型契約が決まるなどして、現在のソラコムの契約回線数は買収前から25 […]

  • 2020.08.09

行動経済学の知見【ナッジ】をビジネスに活用しよう

 経済産業省のホームページで令和2年度の予算資料を確認していたところ、経済産業省がナッジ(Nudge)の活用した政策手法の活用推進を進めていることを知りました。さらに調べたところ、経済産業省は2019年5月21日のニュースリリースで省内に新たなプロジェクトチーム「METIナッジユニット」を設置することを発表しています。恥ずかしながら、まったく知りませんでした。今回は、このナッジについて掘り下げてい […]

  • 2020.05.08

価格設定は、内を見て、外を見て、経営者が決断しよう

 4月24日に、中小企業庁から中小企業白書が公表されました。 https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200424002/20200424002.html  例年、中小企業白書では、テーマが設定されて調査結果に基づいて分析が行われますが、今年は『「価値」を生み出す中小企業・小規模事業者』がテーマとなっており、新たな価値を生み出している中小企業や小規模事業者の特 […]

  • 2020.04.26

商品やサービスの数だけ、開発ストーリーがある

 今週、バルミューダ社が新しいワイヤレススピーカーの発売を発表しました。  ぱっと見の印象はスピーカーというよりランプのようですが、「今までにない音楽体験をお届けするワイヤレススピーカー」として、「360°広がる立体的で抜けるような気持ちよいサウンドと、グルーヴを増幅させる輝きでライブステージのような臨場感をつくり出す」という、他では聞いたことのない特徴を持った商品です。  バルミューダは2003 […]

  • 2020.04.05

「デザイン経営」に取り組みたい企業のためのイントロダクション

 2018年に経済産業省と特許庁が『「デザイン経営」宣言』を発表して以降、デザイン経営を浸透させるための行政主導の取り組みは続いています。先月には、特許庁のとりまとめによるデザイン経営の事例集が公開されました。 https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/human-design/reports.html  公開物の1つである「デザイン […]

  • 2020.02.21

マーケティング活動の意義は「顧客について考える」こと

 以前、このブログでもお知らせしていましたが、2月18日に本庄早稲田国際リサーチパークにて、「売上UPのためのマーケティング研修」を開催いたしました。おかげさまで、定員30名の方にお集まりいただき、1日かけてマーケティングについて学んで頂きました。 マーケティングのプロセス  私がマーケティングのお話をするときにベースにしているのは、フィリップ・コトラー氏が提唱したとされる、「STP+4P分析」と […]

  • 2020.02.02

中小企業の新製品開発はどのように始めるか

 今週、自社製品の開発に取り組みたい、という経営者にお話を聞く機会がありました。特殊部品や試作品の金属加工を短納期に対応できることを強みとしている企業でしたが、新しいことに取り組みたいという思いの背景には、自社がやっている事業で10年後同じだけ売上を上げられる保証はない、自分の会社がなくなってしまうかもしれない、という強い危機感があることを感じました。  2017年の中小企業白書ではテーマの1つに […]

  • 2019.12.29

組織文化をはぐくむ環境づくり(2)

 前々回のブログでは、高い成果を上げる組織の必要条件としての「心理的安全性」について紹介しました。「心理的安全性」が担保された環境では、「コミュニケーションの活性化」や「積極的なチャレンジ」が起こりやすく、高い成果が表れる可能性が高い、という内容でした。  ただし、こうした成果は「心理的安全性」が担保されているだけでもたらされるものでないことも、「心理的安全性」の概念を紹介したエイミー・C・エドモ […]

  • 2019.12.08

中小企業もオープンイノベーションを活用しよう

 年末になると、来年度の経済政策、予算の内容についての報道が増えてきます。12月7日の日本経済新聞には、次のような記事がありました。来年4月から2年間、「オープンイノベーション促進税制」として、大企業が設立10年未満の非上場企業に1億円以上を出資したら、出資額の25%相当を所得金額から差し引いて税負担を軽くする優遇措置を設け、自社にない革新的な技術やビジネスモデルを持つスタートアップとの協業による […]

  • 2019.11.19

「マーケティング活動」の定義

 来年の2月に、毎年秋に創業スクールの講師としてお招きいただいている本庄早稲田国際リサーチパークにて、丸一日のマーケティングの研修の講師を務めることになりました。これまで、創業スクールの中ではおおよそ2時間ほど時間を取って、マーケティングの基本的な考え方と、顧客とのコミュニケーションに関する考え方やツールの説明、メッセージの作り方を紹介してきました。今回の研修では、対象者が創業者ではなくすでに事業 […]

  • 2019.11.04

デザイン活用は、組織づくり、文化づくりから始めよう 【「小さくはじめるデザイン室」サービス開始にあたって】

 VALUE LABOが提供するサービスとして、「小さくはじめるデザイン室」の告知を開始しました。このサービスは、草野さんが2年ほど前から企業研修の一環として行っていた「出張デザインレクチャー」をベースにしており、デザイン室を新設する組織文化醸成やデザイン室担当者の育成を行います。  私たちが想定するデザイン室は、企業におけるデザインマネジメントを担当する部署を想定しており、デザインに関する業務に […]

  • 2019.09.29

デザインを活用するステップを知ろう

 これまで2回のブログでは、私の考える「経営のデザイン」が、デザインマネジメントにおける「マネジメントのデザイン」( Designing Management :デザイン能力と創造性を高めるための人的資源管理、組織体制の構築や、デザインを核に据えた経営戦略の立案、実行)の実現を目指すものであること、その実現が中小企業にこそ求められると考えていることについて紹介しました。今回は「経営のデザイン」の具 […]

  • 2019.09.22

中小企業診断士である私が、なぜ「経営とデザイン」に取り組むのか。

 国内の中小企業の中には、競合企業や大手企業に負けないような優れた技術を持っている企業が多数存在します。ところがそのような企業であっても、自社商品が思うように売れない、高い技術に見合う価格で製品やサービスを販売できずに苦しい経営を強いられている企業は少なくありません。  一方、従業員数名の企業が、世界に通用する商品を生み出し続け、安定した売り上げを続けている例も多くあります。こうした違いは何から生 […]