デザイン活用は、組織づくり、文化づくりから始めよう 【「小さくはじめるデザイン室」サービス開始にあたって】

デザイン活用は、組織づくり、文化づくりから始めよう 【「小さくはじめるデザイン室」サービス開始にあたって】

 VALUE LABOが提供するサービスとして、「小さくはじめるデザイン室」の告知を開始しました。このサービスは、草野さんが2年ほど前から企業研修の一環として行っていた「出張デザインレクチャー」をベースにしており、デザイン室を新設する組織文化醸成やデザイン室担当者の育成を行います。

 私たちが想定するデザイン室は、企業におけるデザインマネジメントを担当する部署を想定しており、デザインに関する業務について可能なものは内製化し、必要なものは外部を活用するといった判断を行いつつ、自社に経営資源としてのデザインを積み上げていく役割を果たせることを期待しています。「デザインに関する業務や思考のプロセスを外部に丸投げさせない」ことが目標です。

中小企業とデザイナーのマッチング

 中小企業でのデザイン活用の取り組み支援は、これまで行政主導でも行われています。典型的なのは、中小製造業とデザイナーをマッチングして新しい商品を作る、という事業です。

 中小製造業が外部のデザイナーと組むことで洗練されたデザイン商品を生み出すことで商業的な成功を収められる可能性はあります。このような事業では、完成した商品をイベントで展示したり、プレスリリースしたりといった広報活動がセットになっている場合が多いので、商品の売上という形でリターンが得られる場合がありますし、そのようにメディアに露出することによって、他の仕事の依頼が来るなど、副次的な効果が発生する場合もあるようです。

 したがって、こうした行政主導の支援制度に一定の意義があることは認めるのですが、そうした取り組みの効果が、支援の期間限りになってしまっていることが多い現状は、非常にもったいないと感じています。

階段を上がることは、「組織」を変えて、「仕事の進め方」を変えること

 以前のブログで、「デザインラダー」について紹介しました。

 デザイン活用の成熟度、デザイン活用を深化させるステップについて示したものですが、このデザインラダーを参照して考えると、デザイナーと共同で商品開発している過程において、「専門のデザイナーがデザインを担当している」という意味では、【ステップ2:外見としてのデザイン(DESIGN AS FORM-GIVING)】に位置しているといえますし、「デザインによる解決策(ソリューション)が、デザイナーと経営者が共同で検討・ディスカッションを行い、社会的な課題やユーザーのニーズを起点に発想」されていれば、【ステップ3:プロセスとしてのデザイン(DESIGN AS PROCESS)】にまで踏み込めている、ということもできるでしょう。

 共同開発の中で、いつもとは違う仕事の進め方やデザイナーからの新しい発想に触れて刺激を受けた、という経営者からの感想はよく聞くのですが、では、それ以降の業務に何か変化があったかと言えば、また従来通りの仕事の進め方やデザインの取り扱いに戻ってしまう、という企業が多いように感じています。そうではなく、自社が主体的にデザインマネジメントに向き合い、デザインを業務の中心に置いた仕事の進め方に変えていくこと、そうした仕事の進め方を受け入れる組織を作ることができれば、本当の意味でデザインを活用した経営が可能になるといえます。すなわち、デザイン活用の成熟度を恒常的に高めるためには、「デザインを受け入れる組織」と「デザインを受け入れる土壌、社内文化」を用意する必要があると思っています。

本当に必要な活動は、時間に追われずに進めるべき

 中小企業とデザイナーのタッグが「組織を変える」ことで中長期的にデザインを経営にしっかり活用できるようになっている成功事例はたくさんあり、メディアでも紹介されています。そういった例では、デザイナーと経営者が新商品(新事業)のコンセプト設定からきちんとはじめて、そのためにあるべき組織の在り方までを規定し、推進しています。ただ、このようなやり方はどうしても時間が掛かるので、年度ごとの「予算」で動く行政の支援をベースにした取り組みにはそぐわない、ということなのだと思います。「小さく始めるデザイン室」では、経営者の思いや企業の実態に合わせて、時間軸にとらわれすぎることなく、新しい組織づくり・文化づくりのお手伝いができればと思っています。

詳細については、下記バナーを参照ください。


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