創業者どうしが支えあうコミュニティが、次の創業者を育てる

創業者どうしが支えあうコミュニティが、次の創業者を育てる

 2月9日(日)、埼玉県本庄市で開催された本庄周辺の女性起業者によるイベント「Lady★Go」に参加しました。本庄市では、2015年から本庄早稲田国際リサーチパークで「本庄早稲田塾・ゼロからはじめる創業スクール」が開催されており、私は1年目から講師として参画しています。また2015年の第1回は9月末から開催されましたが、私はまさに同年9月に大学院の修士課程を修了して、中小企業診断士として完全に独立したタイミングでしたので、独立して最初の仕事がこちらの創業スクールの講師であり、その意味でも特別な思い入れがあります。

Lady★Goのイベントコンセプト

 このイベントは、創業スクールの第1回卒業生のアトリエDEMETAN内原絵美さんと、第2回卒業生のすみれデザイン山路晴巳さんがプロデュースしています。内原さんは革及び布を使用したBagの企画・製造・販売のほか、地域資源を活かした商品開発のコンサルタントとしても活動中です。山路さんは、名刺、ロゴマーク、チラシ、パッケージ、イラストなど、グラフィックデザイン全般を手掛けられ、「コーポレートブランディング」「地域ブランディング」などに携わっています。ともに本庄在住で、家庭・育児と仕事を両立させながら、活動されています。また、イベントの出店者・出演者・サポーターにも多数の卒業生がいたので、皆さんと久々にお会いすることができました。卒業生の誰かと話していると他の卒業生がやってきて、の繰り返しで、飽きることなく皆さんと話ができ、とても楽しい時間でした。

創業のタイミングは人それぞれ

 創業スクールなど創業支援に関わる事業者への補助事業である「創業支援等事業者補助金」の公募要領によると、創業支援等事業による支援対象者(スクールの受講生など)の創業率は16.8%(H26~29年度の4か年平均)とあります。おそらく本庄早稲田の創業スクールの値はもう少し高いかと思いますが、いずれにせよ、創業支援を受けた方のうち、創業までたどり着かない方が多い、というのが現実です。

 創業に興味を持っている皆さんがすぐに創業に至らない理由は人それぞれですが、いつかしたいと思っているが今はまだ現職を離れられない(離れる自信が持てない)とか、もう少しお子さんが大きくなって手が離れてからとか経済的に自立されてからとか、それぞれのタイミングを計っている、というケースが多いように思います。

 何はともあれ、「創業のタイミング」は人それぞれでいつやってくるか分からないので、その時が来るまで、心の中にある創業への思いの火を、小さくても良いので消すことなく持ち続けておくことが大切だと思っています。そして、その火を持ち続ける方法の1つが、自分と同じように創業を目指している人や、同じような立場から創業を果たした人との交流を持ち、同じ目標を持っている人がいること、自分にも可能性があることを認識する(再確認する)ことです。その意味で、今回のイベントには大変意義があると思います。

 今回のイベントでは創業前の方の「チャレンジ出店」もありましたが、自分の商品・サービスがどれくらい受け入れてもらえるのかを確認できるのは大変貴重です。創業支援の際には「まずは小さく始めてみる」ということを強くお勧めしていますが、イベントで試せれば、自信を持って踏み出して良いのか、今一度商品・サービスをブラッシュアップした方がいいのか、など、色々な学びが得られます。しかも、目の前でお客様の反応を見て、感じることができるのは素晴らしいことです。

 また、すでに創業している人にとっては、創業志望者が創業への思いの火を燃やし続けることが必要であるように、創業した後も、事業を続けていくという情熱の火を燃やし続ける必要があります。ただ、事業を続けていく上では楽しいことばかりでは当然なく、むしろ、しんどい思いをする場面が次々と起こります。そういう境遇の中で、自分と同じようにしんどいことがありながらも頑張っている仲間がいる、と確認できることは、何にも代え難い力になります。実際、出店している皆さんは、本当に生き生きした表情で接客をされていました。

理想の形は「コミュニティで支えること」

 本庄では毎年講師としての機会を頂いていますが、スクール終了後にどのようにフォローするのがよいのか(できるのか)、というのは常に頭の中に課題としてあります。また、おそらく多くの支援場所でも同様に課題になっているのではないか、と予想します。本庄ではOGOBの方の交流会を定期的に企画して頂いていますが、なかなか人数を集めることは難しいことが多いです。皆さんお忙しくされているということでもあるでしょうし、交流会で何が得られるのか、ということをこちらが提示できていない(また、実際に十分な価値を感じてもらえる内容にできていない)ということでもあるかと思います。また、創業スクールに参加したけれど結局そのあと活動ができていないので、何となく参加しにくい、といった声も聞いたことがあります。この辺りは、ずっと考えながら、なかなか答えの出ない問いです。

 ただ、この5年間の本庄の動きをみていると、理想に近い形の1つが少しずつ作られつつあるのかな、という気がしています。それは「創業者が、次の創業志望者を受け入れるコミュニティを作って応援すること」です。創業スクールの卒業生や、それ以外の創業者、経営者も含めて、次の創業志望者を受け入れるコミュニティが生まれて、着実に大きくなっている様に思います。また、今回のイベントは 多くの行政や支援機関、金融機関からの協賛、後援、協力を集めており、より大きな「エコシステム」としても育ちつつあるようです。誰か特定の人がいっぱい頑張って、ということでなく(もちろんリーダーシップをとる人が必要な時もあると思いますが)、みんなで支えあうというところが、持続的に成長していくポイントなのだろうと思います。

男女問わず、意欲がある人が挑戦できる社会であるべき

 最後にもう1つ、このイベントへの思いについては、ホームページに紹介されているので、ここで私が紹介するよりも、ぜひ直接読んで頂きたいと思います。

「イベントにかける想い」

 「女性の創業」というトピックについて、私が特別なことは言えないのですが、試行錯誤しながらも事業を進めている女性たちには、「強さ」を称えた輝きがあると思います。タイトルの写真はイベントで購入した髪飾りをつけている娘ですが、今4歳の彼女が大人になって職業選択をする頃に、意欲のある人が男女関係なく自由に挑戦でき、活躍できる社会に少しでも近づけることが、今の親世代の務めであると思っています。 そして私自身は、創業支援を続けることが貢献の1つになると信じて、これからも従事していきたいと思っています。


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