組織文化をはぐくむ環境づくり

組織文化をはぐくむ環境づくり

 昨年、経済産業省と特許庁がまとめた「『デザイン経営』宣言」によって注目を集めることとなった「デザイン経営」ですが、デザインを経営に活用する動きは今日に始まった事ではないということが、「ForbesJAPAN」2017年4月号の佐宗邦威氏による記事「世界的企業は今、なぜ『デザイン×経営』なのか?」で紹介されています。この記事によると、

・1990〜2000年代前半にかけては、「ブランド作り」のために経営者がデザイナーと直接働くことが求められ、狭義のデザインを活用することが意図されていた

・00年代後半に入ると、デザインの定義がより広義に捉えられ、イノベーションを生み出す方法として広がっていった

・現在起きている変化は、これまでとはまったく質が違っており、デザインを「組織全体の文化を変え、経営戦略として変革を起こすための武器」として活用するという動きである。デザイン思考が「プロセス」を生む手段から、「戦略」を実現する組織戦略のOS(基本ソフト)へと進化した

というように、デザインが経営に果たす役割が変化してきたとしています。

https://forbesjapan.com/articles/detail/15683/1/1/1

「クリエイティブな組織文化」を生み出すためにデザインを活用する

 デザインマネジメントを組織で活用したいと考えた際には、まず「どんな効果を期待するか?」という、活用の目的を設定することから始めます。経済産業省「デザイン導入の効果測定等に関する調査研究」(2006年)では、デザイン導入が経営に与える効果として次の4大区分、15小区分が挙げられています。

デザイン導入が経営に与える効果
~経済産業省「デザイン導入の効果測定等に関する調査研究」より~

 この2つの表を見比べてみても、「デザインに求める効果」が、時代を経て広がっていることが分かります。すなわち、見た目(スタイリング)を変えることによる「イメージ・ブランド面の効果」を狙う段階から、商品・サービスを革新させる「モノ作りにおける効果」(イノベーションを生む効果)も狙う段階を経て、今日は「意識・風土面の効果」(組織文化を変える効果)を狙う段階に入ってきていると言えます。企業にとってより不確実性の高い競争環境の時代へと変化していく中、デザインに求める効果がより広範になっているといえるでしょう。

 ちなみに、昨年「『デザイン経営』宣言」が発表された際、国によるデザイン政策提言は15年ぶりである、ということが盛んに報じられていましたが、この2003年に発表された「戦略的デザイン活用研究会報告書『競争力強化に向けた40の提言』」における「デザイン」は、製品など「スタイリング(外観)」としてのデザインの意味合いが非常に強いものになっています。

組織デザインに欠かせない「コミュニケーションの活性化」

 さて、「組織のマネジメント」という観点では、近年、高い成果を上げる組織の必要条件として「心理的安全性」の存在が知られるようになりました。その契機は、2015年にGoogleリサーチチームの発表です。リサーチ結果としては、心理的安全性の高いチームのメンバーは、Google からの離職率が低く、他のチームメンバーが発案した多様なアイデアをうまく利用することができ、収益性が高く、「効果的に働く」とマネージャーから評価される機会が 2 倍多いという特徴があった、というものです。では、「心理的安全性」とは何なのかについては、次のように説明されています。

対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方、つまり、『無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ』と信じられるかどうかを意味します。心理的安全性の高いチームのメンバーは、他のメンバーに対してリスクを取ることに不安を感じていません。自分の過ちを認めたり、質問をしたり、新しいアイデアを披露したりしても、誰も自分を馬鹿にしたり罰したりしないと信じられる余地があります。

https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/identify-dynamics-of-effective-teams/

 つまり、安心して上司や同僚に質問できる、意見ができるような状態が、心理的安全性の高い状態です。逆に、上司や同僚にビジネスに関する質問をしようと思っても、「こんなことを聞いたら馬鹿にされるのではないか」「何もわかっていないと思われて評価が下がってしまうのではないか」といった不安を感じる環境は、心理的安全性が高くないということになります。

 したがって、組織のリーダーには、職場を常に心理的安全性の高い状態に保つ努力を行うことが求められます。そのためにリーダーが行うべきことについては、「心理的安全性」の概念を初めて定義したエイミー・C・エドモンドソン氏は 、その著書の中で次のように指摘しています。

●直接話のできる、親しみやすい人になる
●現在持っている知識の限界を認める
●自分もよく間違うことを積極的に示す
●参加を促す
●失敗は学習する機会であることを強調する
●具体的な言葉を使う
●境界を設ける
●境界を超えたことについてメンバーに責任を負わせる

エイミー・C・エドモンドソン『チームが機能するとはどういうことか ― 「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ』(2014年、英治出版)

 すなわち、リーダー自身が知識が十分でなかったり、間違えることがあったり、失敗することがあることを示すことで、メンバーが臆することなく行動したり発言したりできるような雰囲気を作ることが重要、ということが言えるでしょう。そして、責任を与えてチャレンジさせ、失敗を許容する寛容さを持つことも必要といえそうです。

「組織デザイン」 「コミュニケーションデザイン」 はデザインマネジメントの最重要テーマ

 VALUE LABOプロジェクトでは、「組織デザイン」「コミュニケーションデザイン」を、プロジェクト活動における最重要課題として位置づけています。 それは、双方がこれまでの事業経験の中で、組織の円滑な運営こそが、事業成功への最善のパスであることを認識しているからです。下リンクのインタビュー記事 「ひとつに統合され、自律的に動く組織を創る『デザインマネジメント』」で、我々の考え方をご理解頂けると思います。

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