経営デザイン

  • 2023.01.25

スタートアップ育成5か年計画を読む③大学発スタートアップ創出支援

前回、前々回に続き、「スタートアップ育成5か年計画」の詳細についてレビューをしています。 今回は、「第一の柱:スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築」について、特に「大学におけるスタートアップ創出支援」を中心に紹介します スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築 スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築のために以下の具体的取組として、 (1)メンターによる支援事業の […]

  • 2022.11.30

グッドデザイン賞にみるソーシャルデザインとデザイン思考

2022年11月1日、公益財団法人日本デザイン振興会は「2022年度グッドデザイン大賞」を発表し、アトリエe.f.t.、合同会社オフィスキャンプ、一般社団法人無限による「地域で子ども達の成長を支える活動 まほうのだがしやチロル堂」が選ばれました。 https://www.jidp.or.jp/ja/2022/11/01/grandaward2022?query=tagNames%3DNEWS%26 […]

  • 2022.09.07

「経営者の高齢化」に考えること

8月後半から9月頭に掛けて、日本の2つの大企業の経営者に関するニュースが報じられました。1つは、京セラの会長・稲盛和夫氏の逝去。そしてもう1つは、日本電産の社長(COO)交代です。 稲盛氏は、私の故郷鹿児島県が生んだ偉大な経営者であり、私の実家の街にも4,000人規模の工場があって、小さい頃から京セラという名前が身近にありました。そして、私がメーカーを退社した後に経営学を学ぶようになると、京セラの […]

  • 2022.08.17

夏休みの自由研究2022~「経営」と「面白いストーリー」

夏季休暇、年末年始の休暇は、本を精読するのに良いタイミングです。一昨年のブログでは、数冊を取り上げて紹介をしましたが、今年は、何冊か読んだうちで一番印象に残った「ストーリーとしての競争戦略—優れた戦略の条件」(東洋経済新報社)について紹介します。本書は、2010年に発行された一橋大学楠木健教授の著作です。発行部数は20万部を超えているという、経営学の本としては定番中の定番です。 私自身は大学院に通 […]

  • 2022.07.27

大画面化・高画質化が進んだテレビのもう1つの歴史

日経トレンディ2022年8月号では、同誌の創刊35周年記念の特集として、「いいものオールタイムベスト」と題し、様々な商品カテゴリーにおけるヒット商品の歴史を振り返っています。(https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00677/00001/) この中で最初に紹介されているのが「テレビ」です。確かに、様々な業界のトレンド・新商品情報を中心に構成される当誌 […]

  • 2022.06.01

2022年度中小企業白書の注目トピック④「中小企業が対応を迫られる外部環境」

 2022年度の中小企業白書の第2章「企業の成長を促す経営力と組織」において紹介されている無形資産投資への取り組みについて紹介していく特集の最終回・第4回は、「中小企業が対応を迫られる外部環境」に関する記述に関して取り上げます。言及されているのは、「海外展開」「脱炭素化」「ビジネスと人権」です。 海外展開  感染症の流行以降、海外への往来が制限され、海外とのビジネスが以前のように行うことが難しい状 […]

  • 2021.02.07

「小さくはじめるD2C」は基本を大切に

先日、ある地方産業の経営者や行政関係者に向けて、「D2C(Direct To Consumer)」に関する講演をさせて頂きました。D2Cについては、以前このブログでも紹介していますが、企画開発した製品を販売するためのECサイトの立ち上げから顧客への情報発信、広告、マーケティング、購入まで全てがデジタルで完結し、生産者(メーカー)と消費者を直接つなぐビジネスモデルです。日本国内では、1つのメーカーが […]

  • 2021.01.14

脱炭素社会へのシフトに対応しよう②アップルカーの登場

2024年、アップルカー登場か 前回のブログでは脱炭素社会に対応した電気自動車の動向について書きましたが、昨年の年末に電気自動車に関するあるニュースが世界的に話題になりました。「アップルカー」、すなわち、アップル社が電気自動車を発売する、という話題です。 このニュースは、Reuters(ロイター)や台湾の報道機関が報じたもので、アップルによる自動車部品や装備品の注文が台湾において増加しており、「画 […]

  • 2021.01.03

脱炭素社会へのシフトに対応しよう!

今度こそ、脱炭素社会に向けて動き出せるのか?  2020年は、国内では久しぶりに政権交代が起こった年でした。デジタル庁発足の決定なども話題になっていますが、産業界へのインパクトが大きいトピックとしては、所信表明演説で「2050年にカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言したことでしょう。  この表明に続いて、経済産業省が30年代半ばに国内の新車販売をすべて電動車とする目標を設定す […]

  • 2020.11.28

【セミナー報告】小さくはじめるデザイン経営

 11月24日に、K-NIC(Kawasaki-NEDO Innovation Center(K-NIC))様にて「経営にイノベーションを起こすヒント 小さくはじめるデザイン経営」というオンラインセミナーの講師を務めました。「デザイン経営」については、このブログでも一度紹介しています。 今回のセミナーでは、デザイン経営とは何なのか、また、企業(特に中小企業やスタートアップ企業)がデザイン経営の考え […]

  • 2020.11.07

【ヒット商品が生まれる理由・2020年編】D2Cモデルのキモ

 まだ11月に入ったばかりですが、早くも日経トレンディ12月号で「2020 ヒット商品ベスト30」が発表されました(https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00379/00001/?P=2)。ヒット商品ランキングについて過去2回こちらのブログで紹介していますが、おかげさまでいずれも沢山の方に読んで頂けているようなので、今回も早速取り上げてみたいと思いま […]

  • 2020.10.13

制約から生まれるイノベーション②酒税はイノベーションを生んだのか

2026年まで続く酒税の改正  10月1日に酒税改正が実施されました。これにより、ビールは1リットルあたり20円の減税、発泡酒(麦芽比率50%以上)は1リットルあたり20円の減税、新ジャンル(ビール・発泡酒を除くビールテイスト飲料)は1リットルあたり28円の増税となりました。  今回の変更は、2018年4月の酒税法改正に伴うもので、この後も2023年10月、2026年10月と、段階的に酒税の税率が […]

  • 2020.09.21

制約から生まれるイノベーションに期待する

 2020年9月15日付の日本経済新聞で紹介されていた、ロッキング・オングループ代表で音楽評論家の渋谷陽一氏を講師とする参加型Webセミナー「アフターコロナを考える」(2020年8月18日実施)のアーカイブを視聴しました。 ※2020年9月19日現在、https://events.nikkei.co.jp/archive_ac9/ にて閲覧可能  音楽評論家として知られる渋谷氏ですが、2000年に […]

  • 2020.08.17

夏休みの自由研究~思考を”ジャンプ”させる方法を学ぶ

 このブログでは、たびたび新しい商品・サービスの企画やコンセプトの創出に有効な思考法・手法について、経営学での研究なども含めて紹介しています。これは私が良質なコンセプトメイクを行うことについて、日頃から強い興味関心をもっているためです。  中でも、アイデアやコンセプトは生み出したものを「ジャンプ」させることが重要だと考えており、これを実現する手法について特に強い問題意識をもって探索しています。ロジ […]

  • 2020.07.26

テスラは自動車に新しい「意味」を与えた

 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(ダイヤモンド社)の2020年8月号のテーマは「気候変動」です。ビジネスに関する最新研究や論稿が掲載される本書としては少し趣の異なるテーマであるように思われますが、サブタイトルが「顧客・人材・資金の獲得につなげる機会」とあるように、気候変動にまつわる事業環境の変化をどのように企業経営の機会として生かすか、ということがテーマになっています。  日本では今 […]

  • 2020.07.12

経営者の「哲学」が経営を決める

 最近、新聞である書籍の広告欄に目を奪われました。 「直感で発想 論理で検証 哲学で跳躍」  これは、現在国際大学の学長を務める経営学者、伊丹敬之氏が今月発表した本のタイトルです(「経営の知的思考 直感で発想 論理で検証 哲学で跳躍」東洋経済新報社)。経営の知的思考、というタイトルの通り、経営者が決断、経営判断する上でのプロセスについて書かれた本で、その要諦が「直感で発想し、論理で検証し、哲学で跳 […]

  • 2020.07.04

経営理念は「必要」と思った時が「作りどき」

 昨年の暮れくらいからでしょうか、経営者の方と「経営理念」の制定に関わる話をする機会が絶えず続いています。相手の規模や業種は様々で、経歴も起業したばかりの方、新たな事業を立ち上げた方、起業以来成長を続けている企業、すでに歴史のある企業までいらっしゃいます。また、この期間に経営理念をトピックとしたセミナーに登壇させていただいたこともあります。そこで今回は、経営理念を制定する意義についてご紹介したいと […]

  • 2020.06.18

ヒット商品が生まれる理由【2020年上半期編】

 日本中、世界中で自粛の嵐に見舞われる中、それでも季節は流れ、今年ももう6月半ばになってしまいました。この時期恒例の上半期のヒット番付が発表されています。以前このブログでは雑誌「日経トレンディ」2019年のヒット商品ランキングを紹介しましたが、今回は「日経MJ」のヒット商品番付から、今年の上半期の消費動向について、考察してみたいと思います。 外出自粛、巣ごもり商品を反映した番付  今年の上半期は、 […]

  • 2020.06.03

「共感」で支えあい、新しい価値を生み出そう

 今年の4月から川崎にある創業支援施設K-NIC(Kawasaki-NEDO Innovation Center、https://www.k-nic.jp/)のサポーター(支援専門家)を務めており、月1回程度創業相談を担当していく予定です。6月2日、このK-NICのオンラインイベントに登壇しました。「基礎から学ぶ、コロナ時代に顧客から選ばれる商品作りとは」というタイトルで、私がこれまで経験・研究し […]

  • 2020.05.23

ソニー復活の原動力「リカーリングモデル」とは

 5月13日にソニーが決算発表を行い、その報道で「ソニー、サブスクが下支え エレキ減速も営業3割減速」との日本経済新聞の記事を見て、今回はこの記事から展開しようと思っていたのですが、その後「金融事業の完全子会社化」「ソニーグループへの社名変更」とニュースが続きました。以下は、5月20日付日本経済新聞の記事からの抜粋です。 ソニーの「リカーリング」比率は19年度には約5割と、15年度の35%から上昇 […]

  • 2020.05.08

価格設定は、内を見て、外を見て、経営者が決断しよう

 4月24日に、中小企業庁から中小企業白書が公表されました。 https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200424002/20200424002.html  例年、中小企業白書では、テーマが設定されて調査結果に基づいて分析が行われますが、今年は『「価値」を生み出す中小企業・小規模事業者』がテーマとなっており、新たな価値を生み出している中小企業や小規模事業者の特 […]

  • 2020.04.13

”Zoom”が急速に普及している理由

 新型コロナウイルス対策のため、日本でも海外でも、Web会議の活用が急激に進んでいます。その中で一番注目されているサービスは”Zoom”でしょう。新規利用者を一気に獲得し、ユーザー数を急速に拡大しているようです。  Zoom Video Communications, Inc.は2011年創業で、2019年4月にNASDAQに上場しました。IPO企業の多くが赤字で上場する中、黒字で上場したことでも […]

  • 2020.03.17

不確実性が高い時代のビジネスデザインのヒント

 以前、このブログでマーケティングの基本的な考え方としての「STP+4P分析」を紹介しました。STP+4P分析をベースとする考え方は、「STPマーケティング」と呼ばれています。   マーケティングをテーマとして定期的にセミナーなどでお話する機会があるので、準備の際には資料をブラッシュアップするために色々な情報を集めます。その中で、従来的な「STPマーケティング」の考え方が不十分であるとして補完する […]

  • 2019.12.08

中小企業もオープンイノベーションを活用しよう

 年末になると、来年度の経済政策、予算の内容についての報道が増えてきます。12月7日の日本経済新聞には、次のような記事がありました。来年4月から2年間、「オープンイノベーション促進税制」として、大企業が設立10年未満の非上場企業に1億円以上を出資したら、出資額の25%相当を所得金額から差し引いて税負担を軽くする優遇措置を設け、自社にない革新的な技術やビジネスモデルを持つスタートアップとの協業による […]

  • 2019.10.23

創業計画は、「経営のデザイン」の第一歩

 現在、毎週末に創業スクールの講師として登壇をしています。創業のアイデアを考えることから始めたい方、具体的なビジネスアイデアがある方、すでに事業を営んでいる方など、様々な方が受講されます。  どんな事業でも、経営資源の制約を受けて行われることになりますが、創業の場合は特に「今ある経営資源」「今調達可能な経営資源」でスタートしなければなりません。その中でどのように創業後の道筋を作るのか、それはまさに […]

  • 2019.09.22

中小企業診断士である私が、なぜ「経営とデザイン」に取り組むのか。

 国内の中小企業の中には、競合企業や大手企業に負けないような優れた技術を持っている企業が多数存在します。ところがそのような企業であっても、自社商品が思うように売れない、高い技術に見合う価格で製品やサービスを販売できずに苦しい経営を強いられている企業は少なくありません。  一方、従業員数名の企業が、世界に通用する商品を生み出し続け、安定した売り上げを続けている例も多くあります。こうした違いは何から生 […]

  • 2019.09.14

「経営をデザインする力」を鍛えるブログを始めるにあたって。

 VALUE LABOプロジェクトのキックオフに合わせて、「経営デザイン」にまつわるブログを始めることになりました。「経営デザイン」という言葉は、昨年内閣府から紹介された「経営デザインシート」で広く知られるようになったようですが、例えば早稲田大学大学院創造理工学研究科には「経営デザイン専攻」という専攻がありますし、まったく新しい言葉というわけではありません。  私自身は、2015年に個人事業主とし […]